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第13章 希望

｢杏奈｣


｢…！？｣


なぜか戻ってきた蒼汰さんを見て目を見開く。


え、何で…！？


その左手には、スマホが握られてる。


唖然として見上げると、蒼汰さんはあたしの前に正座して、頭に手を置かれた。


｢何で泣いてんの、お前｣


｢…、｣


…へっ！？


衝撃すぎる一言に、目を丸くして蒼汰さんを見つめてしまう。


｢え？だ…って｣


｢その涙は、何の為の涙なの？
赤ちゃん出来て悲しいから？
俺に抱かれたのが嫌だったから？｣


真剣な表情で聞く蒼汰さんの言葉に思いきり首を左右に振る。


｢ちが…っ違う…！…っく、ひっく、まだ、
分からないけど、…っぐす、蒼汰さんに迷惑…っ｣


｢っえ、あっ？まだ分かんねぇの！？｣


｢ん…っはい…｣


｢何だ…よかった｣


安堵のため息を吐く蒼汰さん。


…よかったって何？


何？そのため息。


何でそんな嬉しそうな顔するの？


生んでないかもしれないから？


あたしが妊娠してると、迷惑だから…？


｢…っう、わあああああ｣


｢っえぇっ！？何でまた泣くんだよー…｣


ゴメンナサイ…ゴメンナサイ。


妊娠なんかしちゃってゴメンナサイ。


堕ろすから…ううん、あたし1人で育てるから。