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want to be ...
第19章 俺と杏奈の1か月 蒼汰SIDE
ものっっっ凄く、もっっっの凄く分かりにくくて、長年一緒にいないと絶対分からないけど。
美咲の事でしか表情変えないし、基本的にほとんど感情を表に出さないけど…
本当は、強情で貪欲で愛情深くて寂しがりや。
儚げで、たまに、触れたら消えちまうんじゃないかって思う時がある。
この伏せた長ーい睫毛とかね。
ばっさばさに生えてんな…毟ってやろうか。
なーんて思ってみる。
あまりに見つめすぎてたのか、大樹が顔を上げて俺を見る。
「何だ」
「…ん、何も。見とれてただけ」
「きも」
ぐさっ。
たった2文字で心臓に槍が刺さる程の殺傷力。
でも…
…ほらな。
気ぃ許されてるからそんな辛辣な言葉吐かれる(んだと思う)し、言った後の表情。
多分普通の人には、大樹を知らない人は絶対分からないし気付かないだろうけど。
見ろよ…この優しげな雰囲気。
この居心地のいい雰囲気。
さっき女撒いてた時はピリピリしてたのに。
ほんと面白いわ、この男。
だから離れられない。
傍にいたいと思う。
「ジントニック」
ようやく決まったのかイケボで呟いた大樹。
すると、いつのまに近くにいたのか女の店員が
「かしこまりました!」
つって去っていった。