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want to be ...
第26章 Secret Story 大樹 × 杏奈
「…」
目をゆっくり開く。
薄暗い室内。
瞬きを繰り返して体を起こし、ぼんやりと自分の体を見下ろして…目を見開いた。
「…えっ!?」
この服…あの日の!?
「…っな、え…!?」
どういう事!?
一気に冴えた頭でキッチンを覗くと…
「どうなってるの…」
あと焼くだけの状態で置いてあるグラタン。
大樹さんのはチーズ多めにしてある。
それなら、もうすぐ…
「こんばんは」
「っ…」
…大樹さん。
放心状態で大樹さんを見上げるあたしに首を傾げ、電気を付ける大樹さん。
「どうした、電気も付けないで」
「っ…、…あ、あの…大樹さん」
「ん?」
「さ、最近…記憶喪失なりました?」
「…?ははっ、何言ってんの、なってねぇよ」
「…っ」
「どうした、突然」
じゃあ、今までのは?
あの日の…あの時の前に戻ってる?
これは一体なに…夢?
「ビール、…!」
はっとして冷蔵庫へ向かい、中を見たけどビールの缶は1本もない。
「あ、ビールねぇの?買ってくるわ」
「あ…っ」
それなら、ここで。
大樹さんにビールを買いに行かせたら。