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want to be ...
第26章 Secret Story 大樹 × 杏奈
ここであの時のように、出て行った大樹さんを靴紐がほどけたままのスニーカーで追いかけて階段から落ちて、大樹さんに支えられたら。
大樹さんは記憶喪失になって、あたしの事を美咲さんだと思い込んで激しく抱くの?
あれは、夢だったの?
予知夢だったの?
あたしがどうしてか見てしまった、長い長い、体験型?の夢だったの…?
それなら、あたしは。
…どう、すべきなの?
このまま大樹さんに行かせるか。
お財布を忘れた事に気付かないふりするか。
あたしが、
「…」
あたしが…
「…マジでどうしたの、今日」
「…大樹さん。ビール、あたしが買いに行きます」
「?いや俺が行くよ、いつもそうじゃん」
「いえ。他に買いたいもの思いついたので。
お金もいつもありがとうございます、
今日はあたしが払いますから」
「そう?んー…。…ん、分かった。
じゃあ俺ここで待ってるわ」
「はい、行ってきます」
…と、お財布を取りに行きかけて、ふと気付いてグラタン2つを焼き機に入れて温度を上げる。
大樹さんが椅子に座ったのを確認してお財布を自室から取って、部屋を出た。
階段から行きかけて、エレベーターに向かう。
降りてきた箱に乗ると、ホッと息を吐いた。