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want to be ...
第29章 素直な気持ち 雫SIDE
「これにサインしとけ」
そう言われて差し出された婚姻届。
酔いが醒めて、泣きじゃくりながらサインしたあたしに優しくキスしてくれて、着いたのは。
西野先生の家…
「…な、んで」
「いいから着いてきて」
「…っ」
何、まさか。
「やっぱりこいつの方がいい」
とか
「こいつと結婚する」
とか言い出すの?
西野先生と?
「…ねっ、ねぇっ、やだっ」
「いいから」
何が…!
あたしは既に泣きかけだった。
杏奈。
あたし、思い伝える前に失恋決定だよ。
期待させといて、地獄に落とされそうだよ。
せっかく、瑞季と出会えて忘れてたのに。
…数年前の事、思い出しちゃいそうだよー…
慣れたようにオートロックを解除し、中に入る瑞季を見て更に視界が滲む。
じゃあ何で婚姻届なんかにサインさせたのよ。
期待させて突き落とさないでよ。
そしてある部屋の扉の前に立ち、あたしに顔を寄せてきた。
「…スマホ出してカメラ起動しとけ」
「…はっ?」
「しー…。ほら、早く」
「…、」
わけが分からずスマホを取り出し、カメラを起動した。
「入るぞ」
躊躇いなく扉を開け、中に入っていくと…
「…えっえっ、ちょっとっ」
「やっぱりなぁ」
やっぱりって!?