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アンバランスなsweet
第18章 突風

「紫乃さん!お話があります!」
金曜日の夕方…
更衣室でいきなり里奈ちゃんから呼びとめられた。
それは…。
卓さんのこと早く言わなきゃ…
そう思いながら里奈ちゃんを避けていた。
私のよそよそしさに真っ向から対決するような真っ直ぐな態度で。
「…私も。里奈ちゃんにずっと話したいこと…あったんだ…」
里奈ちゃんとは反対に私は少し口ごもる。
―――だって、私…。
あの日から…頻繁に真くんのことを想いながら、その行為に耽っていた。
心の中で…真くんの名前を叫びながら。
その存在を求めながら。
それなのに、
その彼女…里奈ちゃんと気軽に話せる程、
私の中のその思いは簡単では無かった。
相反する気持ちに板挟みになって。
その罪悪感から逃げだしたくなって。
里奈ちゃんにとって大切なことを棚上げにしたまま。
―――卓さんのこと。里奈ちゃんに話すのは…やっぱり、真くんに悪い気がする。

