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アンバランスなsweet
第21章 覚悟

『真さんは、何で紫乃さんに告白しないんですか?』

『……何言ってるの。紫乃は片桐さんの彼女だし』


里奈ちゃんだって知ってる筈だ。
あのスキーの日からアイツは片桐さんの彼女になったんだから。


初めて会った時、紫乃の事がちょっと気になった。
足が好みだった…なんて、そんな不埒な理由。

図体のでかさが記憶に残り、相反して、まれに見るぐらい…自分に自信が無かった紫乃。

その姿がやけに印象に残り、俺は、会うたびに気が付けば目で追っていた。


――――そして、スキー。


スキーが苦手で。
なんだか色々あったけど、頑張ったアイツ。
決して上手くは無いが、スキーを楽しめる様になった紫乃。少しだけ自信がついて。それを素直に喜ぶ姿が可愛いくて。
俺にだけ見せるその紫乃の感情豊かな表情に魅了され……好きになっていた。


俺のトラウマ…
そんな大げさなものではないが…。


男好きな俺の母親。美人だから異性にもてた。
そのせいで嫌な想いもたくさんしたし、何よりその男達のせいで、母親が泣くのが嫌だったんだ。


だから。


―――好きな女は泣かせたくない。


男女のドロドロを小さい頃から見てきたせいで、恋愛に対して夢をを見る事が出来ずにいた俺。

小さい身長もコンプレックスだったし、童顔だったせいもあって、女の子に間違われることもしょっちゅうだった。

体を鍛え、得意の剣道を邁進することが自信に変わって。高校に入ってからは割と女にもてたけど、女性に対して冷めていた俺は余り自分から寄ってくる女に興味が無かったんだ。


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