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アンバランスなsweet
第21章 覚悟

力になりたくても。相手が心を閉ざしていてはそれは難しい。


―――その当時は、片桐は生き急いでいたから。


早く亜子ちゃんの元へ行こうとして、自分の命を削るような、そんな生き方。
そんな風に見えた当時の片桐さんのことを、熊さんはは心配で仕方無かったようだった。



『時間と言うのは…本当に、良い薬だよ……まこと』


ぽつりと呟いた熊さんのその横顔に、柔らかな笑みが浮かんで。



『あれ以来、恋には興味が無くなったんだ、って笑っていた片桐がだ。
まぁ、それを笑える様になっただけ御の字なんだが。
その片桐が紫乃ちゃんに興味を持ったんだ。
……だから、俺としては応援してやりたかったんだ』



―――でも……それって本当に片桐さんにとって幸せなことなんだろうか。


だって、紫乃はどんなに頑張っても亜子さんにはなれない。
亜子さんは亜子さんだ。誰も彼女にはなれないんだ。


それは、片桐さんが一番良く解っている筈だった。



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