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アンバランスなsweet
第22章 波の音と恋の終わり

「紫乃さんは私の荷物の多さは既に知ってると思いますけど…私、心配性だからどうしても沢山の荷物になっちゃうんですよねー!」
「うん。大抵の事は里奈ちゃんに話すと解決するよね。ボタンが取れた、とか、ハサミが必要だとか。」
「そうでしょ?備え有れば憂いなしですもん。
そしてね、怪我した時だって、なんとか解決しちゃうんです。一応ナースですねー」
里奈ちゃんは手にしたポーチを軽く振る。
「あの日、真さんは卓さんと殴りあったんです。…私なんかの為に、真さんに怪我をさせてしまいました。
何度もいいますが、私、真さんは好みじゃないんですよ。
お兄ちゃんみたいな好意はあるけれど、キスしたいとは思わない。
真さんには、他に想い人がいるし…。
私はただ、切れた唇の端の手当てをしただけです。
ベンチは雪で濡れていたし、私チビだから真さんにうんと、かがんで貰って手当てしたから…キスしてるように、紫乃さんに見えたかも知れないけど。
紫乃さんに私嘘なんかつきません!」
「…ごめんね」
里奈ちゃんの力説に思わず私は謝った。
私の事を心配してくれる里奈ちゃんが嘘なんかつくはずないのに。

