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アンバランスなsweet
第24章 火事の現場で

仏教工場の隣のアパートへも燃え広がりつつある火は、赤い悪魔のその口でアパートを飲み込もうとしている。
そんな中、「奥さん、駄目だ、危ないから」消防士が制止する声が聞こえて。
「娘がまだ中にっ、中にいるんです‼」
救助されたアパートの住人の一人が、消防士にすがって悲痛な叫びを上げていた。
「もう、助からないんじゃないか――?」
「あの炎の勢いじゃ無理だろ」
消火活動に伴い怒号が飛び交い、野次馬達の心ない言葉が聞こえてくる。
その騒がしい喧騒のなかで、その女性の必死な叫びが胸に突き刺ささる。

