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第25章 繋がる気持ち

「紫乃さん。
真さんを心配する気持ちに、好きになる資格が必要なんですか？」

「……えっ？」


紫乃さんが驚いた顔をして、私の方をみた。


「好きになるのに…資格、必要ですか？」

「…………必要ないかもしれない。

でも―――真くんにとって迷惑かもって思っちゃうんだよね。」

「真さんにちゃんと気持ちを伝えるつもりなんですよね？紫乃さん。」

「……うん。伝えたい。でも――…。」


気持ちを伝えても伝えなくても。
どちらを選らんだところで、結局、紫乃さんは、真さんの事を心配する気持ちを止めることなんて出来ないのに。


私は――。卓さんのことで経験済みだから、その気持ちの本質を少しだけ理解できるんだ。


結局、距離や関係が離れても自分の心は止められない。
卓さんに立ち直って欲しくて。
あのキラキラしていた綺麗な心を取り戻して欲しくて。
結局、逃げるようにして卓さんの前から消えた私。


――――自分の気持ちからは逃げ出すことは出来ない。

紫乃さんから渡されたコースターが、ひっそりと里奈にそう告げていた。