この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
アンバランスなsweet
第25章 繋がる気持ち

「身代わり―――それって、亜子さんのことでしょう。
それって、片桐さんだけのせいだけじゃない。
私、嫌われたくないばっかりに、片桐さんの言いなりになって。自分で考えることをやめてしまったんだ。
なれるはずなんか無いのに、亜子さんになろうとしていたの。」
紫乃が、亜子さん―――片桐さんの亡くなった恋人の名前を口にした。
亡くなってから、熊さん以外に亜子さんの事を話した事が無いようだった片桐さんの、その悲しみの原因の女性だった亜子さん。
その、亜子さんのことを知っているってことは、片桐さんがそこまで紫乃を信頼しているってことだろう。
紫乃の口ぶりでは、身代わりだって判っているようだったし。
―――とんだ茶番劇だな。
それは、俺の“好きだ”と言う告白が、もし聞こえていたとして、それでも、紫乃の中では答えが出ていたということを意味していた。
身代わり――それでも良いと思えるぐらい、紫乃は片桐さんの事が好きってことなんだ…。

