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アンバランスなsweet
第1章 コンプレックス
『個性的』
そう一括りにしてしまえればどんなに楽かもしれない。
都会ならいざ知らす、私が暮らしているのは東北の片田舎。昔からの因習が色濃く残るこの土地で、人と違うと言う事は色々なかなか難しい。それは男性だけでなく、同性である女性もそう思っていることに他ならない。
―――あぁ、もう。嫌になっちゃう。
そんなふうにため息が零れることを止められないまま、1日が終ろうとしている。
私も結婚適齢期。
まだ結婚願望はないものの、悲しいかな。事務服という戦闘福に身を包んで裏方に徹する私にそんな浮いた話は皆無だった。
病院の受付嬢なんて、なんだか出会いが有りそうなイメージなのに、実際の私の生活は自宅と職場の往復がメインの淋しいもので。
仕事は楽しいけれど、そろそろ人並みに違う幸せだって欲しいと思うのに未だ彼氏は出来ないままだ。
事務の先輩はちゃんと結婚している人もいる。後輩に話を聞けば、単に私が誘われないだけでそれなりに出逢いもあるみたいだ。私が普通の身長なら、もっとちゃんと出会いがあるのかもしれない。
輪を掛けるように、昨日また友人から結婚式の招待状が届いていたことを思いだし、私は今日何度めかのため息をついた。
恋愛に疎かったせいで、今までは余り疎外感や哀しみを感じることなんかなかったのに、近結婚しだした周りに触発され少しブルーな気分。
引っ込み思案な性格も災いし、いままで誰ともお付き合いしたことが無い=残念な25歳の乙女という図式は現在進行形なままだ。
……25歳は乙女じゃないかもだけれど。それはこの際棚に上げておいて欲しい。