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BLACK WOLF
第9章 罪と罰
その後、お風呂から上がったハルちゃん。
だけど、何と無く気まずくて、顔を会わせ辛くて、私はリビングでテレビを見てる振りで誤魔化した。
「舞も入れよ。風呂」
「う、うん…」
けど、ハルちゃんも私の方を見ようとしない。
気まずいのはハルちゃんも一緒か。
酔った勢いなのかはわからないけど、一瞬でもハルちゃんと…そう思うとまた顔が赤くなった。
「あのさ、舞。俺、もう慌てねぇし気長に待つから」
「えっ?」
部屋着で首にタオルをかけて、私に背中を向けたまま語り出した。
その話の内容が、まるで私の考えを見透かしたかのような、決心を鈍らそうとしてるかのような内容だった。
「それにさっき、抵抗しなかったみてぇだし、ちょっとは脈アリって事じゃね?」
そっか。
さっき、一瞬だけ目を閉じてハルちゃんを受け入れそうになったから。
でも、違う。
抵抗しなかったのは、黒埼さんを忘れたかったから。
ハルちゃんを受け入れたんじゃなくて、黒埼さんを━━━━━…。
私の体から黒埼さんを消し去りたかっただけなの…。
「…ごめんね、ハルちゃん」
「いや、いいって。俺も焦ってあんなことして悪かった。…じゃ先に寝るわ」
そう言って私の方を見る事なくリビングから立ち去ってしまった。
ごめんなさい。
甘えてちゃ駄目と思いつつ、ハルちゃんで黒埼さんを消そうとした。
私を守って庇ってくれた幼馴染みを利用しようとした。
私は…、最悪な人間に成り下がってしまった。