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BLACK WOLF
第9章 罪と罰
…ハルちゃんを怒らせたのかな?

あそこまで覚悟しておいて、土壇場で震えて泣いて、気持ちを萎えさせちゃって。




私の体に染み付いた薔薇の香り。

自分じゃ気が付かなかったけど、黒埼さんの痕跡は体内だけじゃなくて私の体のあらゆる所に染み付いてるんだ。

髪や体や皮膚、全身に。





衣服を整え立ち上がり、そのままになってしまった洗い物を見ながらぼんやり思った。





ハルちゃんの気持ちに応えられないのに、いつまでもハルちゃんに甘えてちゃ駄目だ。

ハルちゃんを傷つけるだけ。

出来るだけ早い内にここを出て行かなきゃ。

大学の友人か、もしくは地元に帰ってご近所さんに泊めてもらおう。




流れ出る蛇口の水。

自分の決意を固めるようにキュッと蛇口を閉めた。





ここを出て行く事を言ったらきっとハルちゃんは私を止める。

理由を言えば…、ハルちゃんは優しいから私を庇うようにしてくれるけど、そこまで甘えられない。

無断でいなくなったらまたハルちゃんに心配かけちゃうかも知れないけど、ここにいてもハルちゃんの気持ちには応えられない。


そして、黒埼さんにも見つからないところ…。


あの人の元にだけは絶対帰りたくない。

例え私の体にあの人の香りが残っていても、心まではまだ支配されていないのだから。













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