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BLACK WOLF
第9章 罪と罰
いつもなら特に気なしない。

ただの風の音かも知れない。

でも、念のために確かめるに越したことはない。

何もないならないで安心出来るし、と。







キィ…

またゆっくりと玄関のドアを開けた。





玄関から少し身を出し、念のため辺りをキョロキョロと見渡したが、そこはシンッと静まるマンションの廊下。

誰もいない。

…何だ、やっぱり気のせいか。








この時、もっと慎重になるべきだった、と

私は後から後悔することになる。









もっと、外開きになってるドアの後ろとか

死角になってる廊下の曲がり角とか…。












何もなかったことに安心してドアを閉めようとしたその刹那━━━━







「━━━━━━━んぅっ!!」

私とドアの隙間を縫うようにして表れた黒く大きな何か。



その何かに後ろから羽交い締めにされたかと思うと、口に何かの布を押しあてられた。

叫ぼうにもそんな暇がないくらい素早い動きで私の口許を押さえ口を塞いだ。

必死に息をしようとした瞬間に

「んっ、う…」






何…?

何なのこれ…?

口許を塞いでる布から香る甘い香り。

それを嗅いだ瞬間、貧血のような立ち眩みに襲われ意識が薄らいで行った。


















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