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BLACK WOLF
第10章 深く、奥まで…















ほんの2時間くらい前は幼馴染みと一緒にいた。

気まずい思いをしつつも、大切な幼馴染みと一緒に夕飯を食べてた。

普通の生活に戻って、体に染み付いた薔薇の香りすら消えてくれると思ってた。

どんな思いで、あの日雨の中を走ったか━━━━━






「少々見くびり過ぎたな…」

「は、離してっ!やめてっ!」






気づくと私は…

まるで、分娩台のような椅子に座らされていた。

しかも、裸に剥かれ両手は万歳のような体勢で一纏めに拘束され、足はM字開脚状態で固定されていて、目の前であの男が



黒埼さんが椅子に座り霰もない姿の私を眺めている。




そしてここは…、恐らくあのお城のような黒埼邸の一室なのだろうけど、薄暗くて周りには怪しげな機材が沢山置いてあり、入り口には鉄の扉。

まるで、牢獄だ。



そう。

ハルちゃんの家で聞いたあの音に誘われて少しだけ外に出た私は、一瞬の隙を突かれ黒埼さんに誘拐されたのだ。

変な薬を嗅がされ、眠るように意識を手放してしまって。

「な、何なの…。どこなの、ここ…っ?」

「我が家の地下。いくら人気のない山奥でも大声を出されちゃたまりませんから」

やっぱりここは黒埼さんの家…?

じゃあ、私は…またあの地獄に連れ戻されてしまったのか、と絶望が私を襲った。






せっかく逃げ出せたのに…。

あの日、錠が外れる音を聞いた瞬間、私は賭けに勝ったと思ったのに…っ!



けど、今はただただ恐い。

勝手に鍵を持ち出し、この家から逃げ出した私にどんな拷問をかけるのか…

ただじゃ済まないことぐらいわかってる。

でも、だからってこんな恥ずかしい格好をさせるなんて…っ!
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