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BLACK WOLF
第10章 深く、奥まで…
「さすが山育ちなだけあって相当な脚力だな。この家からあの幼馴染みの家まで軽く8kmはあったぞ?」
…あの雨の日、とにかく夢中で走った。
早く黒埼さんから離れたくて、逃げたくて、息が切れようが心臓が破れそうになろうが構っていられなかったんだ。
「言ったはずだ。お前は俺のもんだと。俺からは逃げられないと」
…狼の目。
あの目はいつも私を追い詰める。
「いや…これ、ほどいて…」
万歳状態で手錠のような鎖で拘束されてる腕が震えて、その振動で鎖がカチャカチャ音を立ててる。
私、このまま…、今度こそ本当に殺される?
すると、椅子から立ち上がった黒埼さんがゆっくりこちらに歩み寄ってくる。
カツカツと靴音を鳴らして。
「やっ、やだっ!来ないでっ!嫌ぁっ!!」
私と同じ位置にしゃがみ視線を合わそうとするが、恐怖で目を合わせられない。
硬く目を閉じ顔ごと黒埼さんから反らしていると━━━━
「これは何だ?」
「え…?」
私の首筋をなぞる、黒埼さんの指。
「誰のマーキングだ…?」
マーキング…?
しばらく考え、ハッと思い出した。
…もしかして、ハルちゃん?
あの時、怖くて目を閉じていて気づかなかったけど、まさかハルちゃん…
キスマークを?
「あ…」
「安いミントの匂いまで付けて…」
一瞬、ハルちゃんと体を重ねたときに移ったミントの香り。
薔薇の香りに紛れたハルちゃんの香りを黒埼さんは瞬時に嗅ぎ分けたのだ。
まさに狼並みの嗅覚だ。
…あの雨の日、とにかく夢中で走った。
早く黒埼さんから離れたくて、逃げたくて、息が切れようが心臓が破れそうになろうが構っていられなかったんだ。
「言ったはずだ。お前は俺のもんだと。俺からは逃げられないと」
…狼の目。
あの目はいつも私を追い詰める。
「いや…これ、ほどいて…」
万歳状態で手錠のような鎖で拘束されてる腕が震えて、その振動で鎖がカチャカチャ音を立ててる。
私、このまま…、今度こそ本当に殺される?
すると、椅子から立ち上がった黒埼さんがゆっくりこちらに歩み寄ってくる。
カツカツと靴音を鳴らして。
「やっ、やだっ!来ないでっ!嫌ぁっ!!」
私と同じ位置にしゃがみ視線を合わそうとするが、恐怖で目を合わせられない。
硬く目を閉じ顔ごと黒埼さんから反らしていると━━━━
「これは何だ?」
「え…?」
私の首筋をなぞる、黒埼さんの指。
「誰のマーキングだ…?」
マーキング…?
しばらく考え、ハッと思い出した。
…もしかして、ハルちゃん?
あの時、怖くて目を閉じていて気づかなかったけど、まさかハルちゃん…
キスマークを?
「あ…」
「安いミントの匂いまで付けて…」
一瞬、ハルちゃんと体を重ねたときに移ったミントの香り。
薔薇の香りに紛れたハルちゃんの香りを黒埼さんは瞬時に嗅ぎ分けたのだ。
まさに狼並みの嗅覚だ。