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BLACK WOLF
第12章 その鋭い牙で仕留める如く
午後のあの時から変な考えが頭から離れない。
死ぬほど憎んでた男なのに何でこんな馬鹿な考えが浮かんでくるのっ?
掻き消そうとしても消えない。
必死にハルちゃんの顔を思い出そうとした。
ハルちゃんの元へ帰れるのに、何でこんな考えが…っ!
「じゃ、食うか」
戸惑う私を他所に新聞を脇に置き食事に手を付けようとしている。
…勘のいい黒埼さんに私の心を読み取られないように必死に隠した。
黒埼さんなら私の目の動き1つで全てを見破る。
テーブルに目をやると、そこには相変わらずなご馳走が並んでいた。
それこそ大金持ちが出てくる映画やドラマの中でしか見たことないような豪華なご馳走。
「この黒いのって…」
「キャビア。食ってみな」
何事もなかったかのようにディナーを楽しむ黒埼さん。
この人と食事することも、もうなくなるんだろうな。
こんな大きな邸にあんな素敵な部屋、豪華なディナー。
どれもこれも私には不似合いなものばかりだった。
「酒井さんは?」
「もう帰ったよ。酒井さんもL.Aには行きたくないって言ってたから行くのは俺1人」
「いつから行くんですか?」
「今月末には発つ」
今月末…
あと2週間足らず。
あと2週間もすれば、この人は私の前からいなくなる。
たった1人で異国に行ってしまう。
死ぬほど憎んでた男なのに何でこんな馬鹿な考えが浮かんでくるのっ?
掻き消そうとしても消えない。
必死にハルちゃんの顔を思い出そうとした。
ハルちゃんの元へ帰れるのに、何でこんな考えが…っ!
「じゃ、食うか」
戸惑う私を他所に新聞を脇に置き食事に手を付けようとしている。
…勘のいい黒埼さんに私の心を読み取られないように必死に隠した。
黒埼さんなら私の目の動き1つで全てを見破る。
テーブルに目をやると、そこには相変わらずなご馳走が並んでいた。
それこそ大金持ちが出てくる映画やドラマの中でしか見たことないような豪華なご馳走。
「この黒いのって…」
「キャビア。食ってみな」
何事もなかったかのようにディナーを楽しむ黒埼さん。
この人と食事することも、もうなくなるんだろうな。
こんな大きな邸にあんな素敵な部屋、豪華なディナー。
どれもこれも私には不似合いなものばかりだった。
「酒井さんは?」
「もう帰ったよ。酒井さんもL.Aには行きたくないって言ってたから行くのは俺1人」
「いつから行くんですか?」
「今月末には発つ」
今月末…
あと2週間足らず。
あと2週間もすれば、この人は私の前からいなくなる。
たった1人で異国に行ってしまう。