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BLACK WOLF
第15章 耳をすませ、爪を研いで
カーテンの隙間から漏れる夕焼けの西日。
薄暗い室内に残された私。
私の心が手に入らないと思い、私を自由にしてくれた。
春子叔母さんの居場所を突き止め連絡を取ってくれたのだろう。
確かにあの頃は黒埼さんを恨んでた。
憎んで、恨んで、心の底から大嫌いだった。
だけど、今は━━━━…憎んでるの?
あの頃と同じように恨んでるの?
あの人は私が思ってる以上に、長い年月を越えながら私を心配してくれていた。
なのに、あんな悲しい目をした狼を憎み切れるの?
黒埼さんはずっと、ずっと、私を━━━━━━。
「…………っ。」
そう。
ここへ来た理由は真実を知るためでしょ?
そして、全てを清算して決着をつけるためでしょ?
だったら、今、私がやらなきゃいけないことはただ1つ。
大丈夫、今の私なら出来る。
もう逃げないで向き合っていくと決意したのだから。