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BLACK WOLF
第16章 悲しき遠吠え
車のギアを動かし、この住宅街とは似つかわしくない外車はゆっくりと進んでいく。

「で、お前本気で独り暮らしする気か?」

「はい。物件巡りに付き合わせちゃってすいません」

「んなもんしなくても、また俺のあの家に住めばいいだろ?部屋はまだ残してある」

「…いえ、それは」

それじゃ、自立の意味がないじゃない。

それに黒埼さんと1つ屋根の下じゃ何があるかわかったものじゃない。


「何だ?あの幼馴染みの坊やに悪い、とかか?」

「あのですね~…」

さすがにあんな別れ方をしたハルちゃんには合わす顔がない。

今はまだ時間が欲しい。

いつかまた、仲のいい幼馴染みとして再会出来る日まで。




「黒埼さんの周りの人に悪いって言うか…」

「あ?」

頭を窓にもたれさせながら今後の事を考えた。

私みたいな一般人と黒埼さんが一緒にいるってだけでも黒埼さんに迷惑がかかる。

もし黒埼さんを取り囲むマスコミにバレたら、黒埼さんの世界では大変なスキャンダルだ。

それを思うと一緒に住むなんて、今更だが怖くて出来ない。

それに、叔母さんにも何て言えばいいか。










「本当にバカだな、お前は」

「な…」

「んなもん、バレた時に考えりゃいいんだよ」

人が真剣に悩んでる時に水を指すような台詞。

その一言に思わずカチンッとしたが。




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