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第7章 獣のような目で

酒井さんの言った通り、辺りが真っ暗になりだした頃、窓を叩きつけるような雨粒が振り出し外は忽ち豪雨となった。

煩いぐらいの雨音と雷。

夕食を食べ終えた後、私は酒井さんの入れてくれたコーヒーを頂いていた。

カチャカチャと食器を洗う酒井さんに「手伝います」と申し出たが「とんでもありません」と断られてしまった。

ハウスキーパーさんにとってはこれも仕事。

仕事を取るつもりはないけど、慣れない。

私は何もわからないままムリヤリここに連れて来られたただの田舎者で

私が本当に黒埼の血縁者ならこんな肩身の狭い思いもしなくてよかったかも知れないけど。

でも、私の頭の中はさっきの酒井さんの言葉がぐるぐるしていた。



黒埼が優しい。

私の為に。




いろんな思いや考えが頭の中でぐるぐるしている。





…酒井さんは黒埼との関係が長そうだし、この家に出入りしてる人間だし黒埼の事をいろいろ知ってるかも知れない。

「あの、酒井さん」

「はい」

「酒井さんは、ここで働いてどれくらいですか？」

「旦那様に使えてもうすぐ4年くらいですね」

4年。

そんなに長く黒埼と一緒にいるなら、何か知ってるかも知れない。

心臓を高鳴らせながら思い切って質問をぶつけて見た。

「黒埼さんって、何のお仕事をしてるんですか？」

「私も詳しくは…。ただ貿易関係のお仕事らしいです。お父様が亡くなられた後、旦那様が会社を引き継いだとお聞きしてますが」

やっぱり社長だったのか。