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第7章 獣のような目で

「わ、私の事をですか…？」

そっか。

私の事を酒井さんに説明したのか…。

いきなり家に連れて来られた私をどうやって説明してるんだろうか。

でも、どうせロクな説明はしてない。

"借金のカタに連れて来た女"とか"ただの田舎娘"とか、面白おかしく説明したのだろう。

「私の事は黒埼さんから何て聞いてるんですか…？」

「はい。"とても優しくて純粋な方"だとお聞きしておりました」

純粋ね。

いい言い方をすればそうかも知れないけど、悪く言えば世間知らずって事でしょ？

どうせ世間知らずですよ。

あんな男に騙されて、こんな所にホイホイ付いて来たんだから。


「それで"ご友人の方ですか？"とお聞きしたら、優しい目で
"俺にとって、とても大切な女性"と仰ってましたから」












え…？



ドクンッと、心臓が魚のように跳ねた。




今、何て…？

大切な、女性…？

私が…？

私が黒埼さんの大切な女性…？




「う、嘘…っ!?」

「確かにそう仰ってました。防弾ガラスにされたのもお嬢様がお1人の時に泥棒や空き巣に入られない為かと」



ち、違う。

私はあの人にとって私はただの借金のカタ。

そーいう意味での"大切な女性"なんだ。

あの男が私の事を大切になんて、そんなの絶対に有り得ない。

ムリヤリ私を抱いて、こんなところに閉じ込めて、私から何もかも奪った。


多分、酒井さんの手前、そーいう説明をしてるだけで私の事を大切になんて思ってない。

有り得ない。

有り得ないよ…っ！