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煮詰めたシチュー
第10章 雑記 哀しい病
構内アナウンスから目の前を特急電車が通過するまでの、あの線路に吸い込まれそうになるジリジリした感じは非常に苦しいものでした。
希死念慮というのですが、そういったものからの誘引力を一身に感じるようになると、自分の心の中で熱いものと冷たいものが押しくらまんじゅうするような感覚があって、そのあとスッと体が軽くなる瞬間があるんです。
気がつけば汗びっしょりになっていることが何度もありました。
死のうとする心を、生きようとする身体が必死で留めていたのかなという気がします。