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あの店に彼がいるそうです
第11章 いくら積んでもあげない
「あっ、ぐっ、っは……っはあ、はっ、うくっ」
 ベッドで身体を丸め、びくびくと痙攣する青年を鵜亥が見下ろす。
 肌蹴たシャツにはいくつかのパッチが取り付けられ、それを外さんともがく手はベッドの両端に拘束されている。
 ガチャガチャと拘束具が揺れるが、それは抵抗のためだけではない。
 低周波の電気刺激の痛みが断続的に襲い掛かるたびに全身が反応してしまう。
 足の指を強く折り、歯を食いしばって涙を流す姿にぞくりとするものがあった。
「はー……はー、っあ、っく」
 うなじ、乳首の外側、太股に貼られた無線型パッチが三か所ランダムに電気を流す。
「や、めて……っ、んあああっ」
 同時にはまだきついか。
 鵜亥はベッドの縁に腰かけ、瑞希の前髪を搔き上げる。
 涙に濡れて充血した眼に、巧の姿を重ね一瞬固まってしまう。
「っは、は、っく……あぐっ、痛いっ、っあ」
 一旦電気を止めて、パクパクとする口元に身を近づける。
 だが、刺激がまだ抜けきっておらず、暫くは吐息が洩れるだけだった。
「っは、はー、っん……もう、やえて……くださぅっ」
 呂律も回らない唇をなぞる。
 垂れた唾液を擦りつけるように。
 それから瑞希に微笑み、うなじのパッチを外してやる。
 それを脇の机に置いて、今度は胸のものに手を掛けた。
 目を開いて安堵する表情を見ながら、パッチを乳首に直接当てる。
 一瞬で恐怖に歪んだ顔に、鵜亥は愉快気に笑い声を上げた。
 そして瑞希の目の前にリモコンを持ってきて、奪うこともできずにガチャガチャと拘束具を引っ張る前でスイッチを押した。
 想像を絶する痛みが容赦なく押し寄せてくる。
「があああっ、っはぐぅ、っやあああ、いだいっ、ひぎいっ」
 全身を揺らして悶絶する振動がギシギシとベッドを軋ませる。
 脚でシーツを何度も蹴るのを敢えて掴んで止める。
 鵜亥の指の中でびくんびくんと脹脛がのたうつ。
 首をブンブン振りながらも仰け反り、悲鳴を上げ続ける。
「やめっ、あぎぃいいっ、あああっ、っひぐっあん」
 快感に声が甘くなるたび、電気の段階を少しずつ上げる。
 白目を剥いて気絶するも一瞬で、すぐに刺激で現実に呼び戻される。
 そのうち声も枯れて、ただしゃがれた吐息だけが部屋に響く。
「っがっは、はーっ、はっ、ぅくっ」
 止めどなく汗を流し、勃起した陰部からは液が伝う。
 
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