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あの店に彼がいるそうです
第15章 あの店に彼がいるそうです
違和感が、正解に導かれる。
雅樹の時と、弦宮麻那の時、背後にはずっと同じ人物がいたんじゃないかって。
「いつ、から?」
「それはあまり問題じゃないですよ。おかしいと感じたところでもう始まっていたのかもしれませんね」
インテイスでの一件のすぐあとに、俺を拉致した雅樹と玲。
俺が鵜亥に捕まってから弦宮と類沢を引き合わせた秋倉と雅樹。
タイミングが、良すぎる二つ。
情報をいち早く掴んだ金原圭吾が、それを欲する者に流していたとしたら。
でもおかしいじゃないか。
わざわざ八人集が集まっているときになんて、失敗は目に見えてる。
けど、今回は?
雅樹だけでなく、弦宮麻那まで。
「名義屋から、全部繋がってたのかな……」
おぞましいことを口から吐き出すように類沢は呟いた。
額に緊張が見える。
「そのもっと前、そこの宮内瑞希まで繋がっていたと言ったら、どう思います?」
類沢が俺を振り向く。
疑心に満ちた眼で。
ち、がう。
俺が関わってるわけがない。
首を強く振る。
「あんた何でたらめ言って」
「西河南が、西雅樹の妹と言うのは知ってた? 彼氏さん」
頬から力が抜けて、表情が保てなくなる。
こいつ、何の話してるんだ。
河南が、雅樹と?
名字は同じだが、そんなこと聞いた覚えがない。
俺と、類沢さんが、出会ったきっかけは
なんて、奇妙な感覚。
全身から鳥肌を感じる。
「あの日、あんたとぶつかったホストはいつの間に辞めた?」
問い詰めようと晃の方を見るが、空牙と明るく話す姿に声を出せない。
あのときの男まで……
全部。
最初から。
出会う前から。
何が真実かわからなくなって、視界が傾く。
類沢の手が腰を支えるのを感じた。
「僕を辞めさせるために、瑞希を連れてきたって馬鹿なこと抜かすつもり?」
「その馬鹿なことがここまで作用しました。情報屋冥利に尽きるものです」
「河南は、知ってて俺をってこと……?」
「彼女を知ったのは西……聖と呼ぼう。聖の周辺を調べてたとき。妹ってのは兄に近い人物と結ばれるのも多いとは言うけど、あんたを知ったときは笑ったな。では、依頼人は何人いたでしょうか?」
雅樹と?
ケイに関わっていた者の中で?
「皆々様同じ目的だったわけで。弦宮が宮内に盛った劇薬は、ある店を通じて玲に頼んで渡させた」