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叶わないならせめて、手に入らないならいっそ
第6章 傘ふたつ
ふいに、しゅーちゃんがこっちを見た。

どくん。

それは本当に一瞬で、瞬きするような短い時間だった。

けれど俺にはわかる。

今、しゅーちゃん、絶対、俺と目が合った。
眼鏡の奥の黒い瞳が、俺を見た。

しゅーちゃんは女の子の方に向き直ると、ゆっくりと唇を動かした。

「いいよ」

俺はその光景を呆然と眺めていた。

なんで?
俺がここにいるの、わかってるよね?
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