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叶わないならせめて、手に入らないならいっそ
第6章 傘ふたつ
「若葉って子があんたでよかった」
別れ際、駅の入口で苺香が言った。
「俺も、なんか変な感じだけど……苺香と話せてよかった」
はにかみながら答えると、苺香は「可愛いヤツめぇ」と言いながら改札をくぐって行った。
そういえば、彼女はなんで俺の名前を知っていたんだろう。
しゅーちゃんから聞いたのかな。
尋ねる前に、苺香の姿は雑踏に消えてしまった。
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