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叶わないならせめて、手に入らないならいっそ
第9章 闇に溶ける
雨は強くなっていた。
滝のように頭上から降り注いで、もはや傘を差していても効果はない。

俺はぼんやりと夜の土手に立っていた。
増水した川の流れは濁流となって、闇の中でごうごうと唸っている。

小さい頃はここでよく若葉と遊んだ。
だけど、今は俺ひとりだ。

さっき若葉に好きだと言ってしまいそうになった。
俺にそんなことを言う権利はあるのだろうか。

大嫌いだと言われた。

そりゃそうだ。
酷いことをいっぱいした。
たくさん泣かせた。

――だから、告白することすら許してもらえなかった。
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