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叶わないならせめて、手に入らないならいっそ
第9章 闇に溶ける
殴られた頬が痛かった。
若葉が今まで人に暴力を奮ったことはない。
俺があそこまで追い詰めたんだ。

さっきからスマホが光っている。
今まで連絡もなしに外泊したことのない俺を心配して、親が電話をかけてきているんだろう。

一度画面を見た時、Lineに『若葉君と一緒?』ときていたから、きっと若葉も帰っていない。

俺のせいだ。
一度部屋に乗り込んで泣かせたから、若葉は家に帰るのが怖いんだ。

あいつの居場所を俺が奪ってしまった。
俺がいなくなれば若葉も帰ってくるのかもしれない。
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