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叶わないならせめて、手に入らないならいっそ
第3章 妄想が現実を塗り潰していくまで
「はぁっ……柊……!」

女の喘ぎ声が邪魔で、相手の口を手で押さえこんだ。

変な声で俺の夢の邪魔をするな。
おまえ、今、若葉なんだから。

息が苦しいのか女は抵抗したが、さらに強い力で大人しくさせる。

夢の中の若葉は、嬉し涙を流しながら俺に囁いてくる。

――しゅーちゃん、気持ちいいよ。
――俺、そろそろイッちゃうかも。

いいよ、イケよ。
俺も出すから。

腰の振りを激しくして、若葉と共に果てる。
欲望を吐き出したとたん、マッチの火が消えるように幻は姿を消した。

もう若葉はいない。
あるのは汗でべたついた女の体だけだ。

急速に鼓動が冷えていく。
出すまではあんなに幸せだったのに。
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