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可愛いヒモ~番外編
第3章 友梨香の発熱騒動

 確かに、付き合い始めて数ヶ月経つけど、あまりデートっぽいことはしてないかも。買い物くらいだ。

「風邪治ったら行こうよ動物園」
「約束ねっ! 絶対ねっ!」
「わかったって。動物園でそんなはしゃぐとか子供じゃないんだから」
「だって……」

 そこでまたむせる。

「ほら、しゃべらない。てか学習して?」

 せきが治まると、こくこくと頷きながら両手で今度は丸をつくる。
 いや、別にジェスチャーしなくても、頷くだけで伝わるから。

「何か食べないと薬飲めないよね」
「……食欲ない」
「なくても食べないとダメ」

 俺は少し考えて、一つ提案した。

「ミルク粥でいい? 胃に優しいよ」
「うん」

 熱っぽい眼差しで頷いて、両手で俺の腕を掴んでくる。
 引っ張られるまま、ゆーりのそばに顔を寄せると、首もとを抱きしめられた。

「……ん」

 柔らかい胸に頬が当たる。

「今は私、麻人が食べたい……」
「……何言ってんの。ちゃんと栄養あるもん食べてよ」

 首に絡まるゆーりの腕をそっと引き剥がそうとするも、ゆーりはなかなか離れない。
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