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藤の舞
第2章 初診
よく自分のことを名前呼びする女がいるが、
椅子の、道具のくせに、自分を名前呼びする彼女は、僕の大事な助手だ。

『後ろに倒れますので、椅子の背もたれに体を付けてください。』

メロディーが流れ、緊張させがちな装置本体の電動音を和らげる。

『足の部分が動きます。手等を挟まれないように、お腹の上に置いてください。』


手等をって、手以外挟みようがないだろう?と彼女に心の中で呟く。

ああ、挟んだやついたな。患者じゃないが…

仲間内で二人程…

触診中に出来心を起こして、必要以上に触れて患者に暴れられ、弾みで閉じるスイッチを入れてしまい、手を挟んだやつ。


もう1人は、同意の上、最中に興奮し過ぎて、スイッチを入れ、モノを…

椅子に挟まれて萎えるモノを、金と時間を掛けて、やっと自分の女に仕立てた患者に見られ、フラれてインポになって…

学会の二次会という名の乱交パーティーで、女たちを啼かせながら聞いた、椅子に纏わる話を思い出して、
笑いを堪えながら優秀な助手を眺めていた。

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