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藤の舞
第3章 治療1・剃毛
「感染症の治療には、感染源を減らす。患部を清潔にする。
これが重要になります。」

陰部を晒したまま会話をするのも、恥ずかしいだろうと、
男性助手での内診が終わってから軽くタオルを掛けてある。

「はい。」

「具体的には、症状が良くなり僕が許可するまで、性交は控えてください。」

「わかりました。」

「結構あるんですよ。そういいつつも、なかなか治らない患者さん。
相手に染して、治った頃にまた貰ってしまい、やり直す方…」

「わかりました。でも大丈夫です。」


「では治療を始めましょうか。
まずは剃毛します。」

「ていもう…?」

知らなくて聞き直すところがやはりウブだと判る。

「毛を剃ることです。」

「え?剃るんですか?」

カーテン越しに動揺が伝わる。

「感染源を断つと申し上げましたが、ご自身の身体の中でバイ菌が移動することが、一番起こりやすい再感染なのです。

毛はシラミがつく程栄養が有ります。勿論栄養があれば菌も繁殖しやすいのです。」

「そうなんですか…」

理屈は理解出来ても抵抗があるようだ。
それはそうだ。
是が非でも必要な処置ではないからね。
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