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藤の舞
第15章 誘惑
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アタシは焦っていた。
昔の主(あるじ)からの依頼に手こずっていた。
サラリーマン、結婚2年目、sexは淡白、子供がいない。これだけの情報と顔写真と勤務先…
なるべく早くアタシの、sexの虜にして、言いなりにさせること。
そんな依頼を受けた。
会社で待ち伏せし行動パターンを解明する。
生真面目な性格のようで、仕事の延長の飲みはあるが、女遊びはしない。
同僚とカウンターで飲んでいるところに隣に座り、酔ってふらついたフリで話すきっかけを窺ったが、
相手にしてもらえなかった。
そもそも仕事人間のようで、残業ばかり、隙もなく取りつく島もない。
体格も顔もいい方で、その気難しい表情が、意識して女に向けられたら、そこそこモテる男のはずだ。
何日も付け回してチャンスを窺う。
今日は接待なのか、会社から上司と二人タクシーに乗り込んだ。
後を追い店のまえで3時間あまり待つ。
高級料亭で女のサービスも付きそうな店だったが、ひたすら待つ。
タクシーが呼ばれ接客対象の客と上司がタクシーに乗り込み、男だけが見送った。