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藤の舞
第16章 試験
「突然ごめんなさい。この子Mなんだけど、ご主人様に捨てられちゃってね。
誰かに飼ってもらわないとまともでいられなくなっちゃうの、
泣きつかれて、連れてきたの…」

親友は床に頭を貼りつけたままだ。

「貴女、顔をあげてください。そんなことしないで…」

男が親友に声を掛けるが、彼女は微動だにしない。

「あのね、この子優しく言われても聞かないのよ。
命令されないと…」

男はハァっと困った息を吐き、

「顔をあげなさい。俺に顔を見せてみろ。」

親友はすぐさま顔をあげて男を見上げ、軽く会釈して男を見つめ続けた。

「ねぇ君、俺はどうすればいいの?」

「彼女は命令して自分を管理してくれる主がいれば落ち着くの。
このまま放置プレイでもいいし、相手してもいいわ。」

「君はいいのか?」

「貴方も大事だけど、この子も大事なの…
それにこんなこと頼めるの貴方しかいないの…」

「わかったよ。俺の好きにすればいいってことだね?」

「ええ…」

男がアタシの方を向いて話してる間も、彼女はずっと男の方を向いていた。

男も視線を感じ、彼女に気づく、命令に絶対服従の彼女の状態を理解したようだった。

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