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藤の舞
第17章 童歌
妻は意識がないままで、男たちはいつの間にか居なくなっており、
その間俺は一言も話せなかった。




「貴方、ゴルフに行ったことになってたんですね。」

主が俺に白衣を被せ、自分も身に付け、互いに座る。

そして頭巾を外して、

「ゴルフに近いですが、穴に直接ドライバー突っ込んじゃ駄目でしょう。
パーティーも四人以上でしたし…」

淡々と言いながら笑っていた。

聞きたいこと言いたいことが沢山あった。

「隣の診察室でお話しましょうか。
奥さんいつ起きるかわからないし。」

完全に相手の、主のペースだった。

そして、心のどこかでわかっていたのかもしれない。
妻に興味を持たなくなったのは自分で、この男に腹を立てる理由を自分は持ち合わせていないと…

診察室の面接ブースに対面で腰掛ける。

看板通り、普通の婦人科であり、この男が屋号の名字の院長で、まともな医者に見えた。

「妻はいつからここに…」

「4ヶ月前からになりますかねぇ。
カルテ見れば正確な日時はわかりますよ。」

「いや、いいです。妻はなぜここに…」

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