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変態王子の献身
第2章 リッツシュタイン家の城下町
そこまでがリーナの覚えていることだった。



5年ぶりに再会したフレッド王子に体を弄ばれた後、リーナは牢の固いベッドの上で毛布に包まって泣きながら思い出そうとしていた。自分はヨハンに合うために城下町の市場をマリアと歩いていたのだ。それが彼女の思い出せる最後の記憶だった。

フレッド王子がいることから考えるとここはツォーハイムで、自分は誘拐されたのだろう。

シュルツ先生が言っていたように、ツォーハイム家との間の関係は本当に悪化していたのだろう。


それにしても、マリアはどうしたのだろう。自分だけが誘拐されたのだろうか。それとも、マリアも牢のどこかにいるのだろうか。マリアには済まないことをしたと思う。彼女は今回のお忍びについて反対していたのを自分が無理強いした末にこうなってしまったのだ。
自分のことよりもマリアが心配になってきた。リーナの唯一の親友。いつも明るくて楽しいマリア。自分のせいでマリアに何かがあったなら、申し訳なくてたまらない。しかし、もう遅い。マリアがここに居るなら彼女だけでも助けてほしい。自分はどうなっても良い。リーナはそう考えた。


父や母はどうしているだろう。一人娘の自分が誘拐されて、城はパニックになっているだろう。

そして、自分は殺されるのだろうか。それともここに一生幽閉されるのだろうか。

リーナは心配でたまらなくなった。
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