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第2章 リッツシュタイン家の城下町

フィリップ王子はとても賢く、天文学や数学を趣味としている。会ったときに二人で話したこともあったが、夢中になって彼の研究の話をしてくれた。リーナも興味を持って聞いていたのだが、彼にとってはおそらくそういった研究の方が女性よりも興味があるのだろうなと最後には思った。

しかし、彼は誠実そうだし、彼の父の治める王国ドーリンゲンの王族は誠実な人柄と家族愛で有名であった。そして、美味しい食べ物でも有名だった。だから、もしリーナはドーリンゲンに嫁ぐことになっても別にかまわないと思っていた。

それでもマリアは、
「それじゃあ、美女と野獣じゃない。私としてはもっとハンサムな王子様と一緒になってもらいないよ。例えば、ヨハンみたいな。」

「でも、ヨハンは王族じゃないし、警備兵との結婚なんてお父様はお許しにならないわ」

「それはそうだけど。まあ、あんたがフィリップ王子が好きならそれもかまわないけど。じゃあ、ヨハンに会いに行くのやめる？」

「えー！それは止めないよー。今日のためにシュルツ先生に頼み込んだんだから。」

「あははは。じゃあ、行ってみましょうか。」

そう言って二人は小走りのように城の立っている丘を下って、街の市場まで来た。市場は活気にあふれ、多くの人でごった返していた。リーナの胸は次第に高鳴ってきた。ヨハンはどんな人なんだろう。今日はどこにデートに連れて行ってもらえるのだろう。そんなことを考えながら人ごみを進んでいた。