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変態王子の献身
第5章 王子との晩餐
マリアへの手紙を書いた翌日は王子がやってこなかった。

リーナは、自身やマリアのことが心配で食欲が無かった。やってくる看守に食事をするように言われたが、「食べられない」とだけ答えた。看守は心配そうな様子である。

リーナはベッドの中で祈るか泣くかして過ごした。まだ王子の匂いが髪に残っているようで、忘れようとしても昨日のことが忘れられないでいた。

あんなに恥ずかしいことをさせられたうえに、興奮していた自分が情けなかった。
それにもかかわらず、牢に一人っきりで閉じ込めらた孤独もあって、悔しさの中でも内心、王子がまた今日も来るのではないかと期待している自分が嫌だった。

牢の中は時計もないため時間が分からないのだが、牢に挿す光の加減や看守の交代や三食運ばれる食事を見て、リーナは大体の時間を把握していた。

翌日の午後になって二人の看守がやってきた。看守はただ牢から出るようにと言った。リーナは逃げることを考えたが、武装した看守二人相手にか弱いリーナが敵うはずもないから、言われたように大人しくした。

別の部屋まで看守と一緒に移動すると、そこはバスルームだった。

看守はそこでリーナに体を洗い、用意された服を着るように言った。

リーナはこんな状況でも喜んだ。適温に用意されたバスタブにはバラの花びらが散らされていた。リーナはゆっくりと入浴をした。これで王子の匂いがとれると思うとうれしかった。

綺麗に髪を洗った後に、用意された服を見につけた。高価で美しいデザインの絹のドレスだった。そして、それにぴったりと合う靴も用意されていた。

監視はバスルームのドアの外で待っていることから、ここから逃げられないかと思い窓を見るが、窓には格子がはめられている上に、見える範囲内に兵士が立っていることから脱走不可能に思えた。

仕方なくリーナはバスルームから外に出た。ドレスを着たリーナの美しさに、看守も目を奪われた。

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