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変態王子の献身
第5章 王子との晩餐
2人の看守はリーナを連れてまた移動した。ツォーハイムの城には6年以上前に来たことがあったのだが、そこが城のどこだかは思い出せなかった。

一つのドアの前で止まると、そこへ入るように言われた。

ドアを入るとそこにはフレッド王子ともう一人の青年が大きな美しい食卓についていた。白い絹のテーブルクロスに銀の燭台が置かれ、蝋燭の日がその上に揺れていた。

「リーナ、席についてくれ。こちらは従兄弟のクリスだ。」

クリスはリーナの手を取ると紳士的に彼女の手の甲にキスをした。

フレッドは、
「君が食事をしていないと看守に聞いたから、心配して晩餐会を催したのだよ。」
と言った。

リーナは諦めたように席についた。ドアから燕尾服に似た使用人用の服を着た男が大きなお盆を持って入って来た。そして、3人の前に前菜を置いた。そして、グラスにワインを注いだ。

「今日のために特別のワインを開けさせたんだよ。我が領土はワインで有名だが、その中でも特別できの良い年のものだ。」
フレッドはまた無邪気にわらった。まるで、リーナと何事もなかったかのように。フレッドの怒りを買わないように、リーナは調子を合わせて乾杯したものの、食欲はわかなかった。他の二人はワインと前菜を楽しんで食べていた。

リーナが食事に手をつけない様子をフレッドはしばらくじっと見てから、

「リーナ、安心しろ。君の城に忍ばせたスパイの伝言では、君のお父さんは君の書いた手紙を見てそれを筆跡鑑定させた後に、幽閉していたマリアを解放したそうだ。やっぱり皆がマリアのせいだと思っていたようだけど、君が一人で出かけたと書いたのを見て、マリアを許したそうだ。」

リーナの目には涙があふれた。

「マリア・・・。よかった。」

「だから、安心してお食べ。体を壊してしまうよ。」

そう言って笑うフレッドの顔は絵に描かれた聖者のように優しくて美しかった。
リーナはマリアの安全を知って安心したのか、それともフレッドの優しい態度に安心したのか、少し食欲が出てきた。

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