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変態王子の献身
第12章 ツォーハイムの議会

自分が彼女と結ばれる方法はないだろうかと考えてみた。
リーナは一人っ子である。だから婿養子を取ることになるのだ。国交の断たれたツォーハイムという国。さらに、アレックス惨殺事件の仕返しだとしても、リーナを人質に取ったことは事実である。そんな国の王子が婿養子としてリッツシュタインに迎えられるわけはない。王家が許しても、国民は納得しないだろう。今後、国交正常化交渉がうまく進んだとしても、リッツシュタイン王家にとってツォーハイムと血縁を繋げる利点は少ないように思われた。

考えれば考えるほど、自分がリーナと結ばれる未来が現実味を持たない。それがただ悲しかった。
最後に抱き合って寝た夜をフレッドは思い出していた。リーナの体の柔らかさや匂いが鮮明に思い出される。
その幸せな思い出さえ、彼は肯定的なレッテルを貼ることができないでいた。彼女はただ不安な状況の中でだからこそ、自分に欲望を感じたのだろう。吊橋効果というやつだ。危険な状況に置かれた男女は本能的に結びつこうとする。それだけだったのだろう。
ワインを開けるとグラス一杯に注いで一気に飲み干した。頭の中をぐるぐると回り続ける様々な思考が少しだけ静まってきた。
(いいさ。わかっていた・・・・。もう諦めるんだ。)
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