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変態王子の献身
第13章 リーナの帰国
リッツシュタインには一ヶ月ぶりの帰国だった。王と王妃は泣いて喜んで彼女を迎えたのだが、彼女はまだフレッドとの短い日々を忘れられないでいたため、感動もなかった。

彼女が誘拐によって大きく変わってしまったのに気づいたのはマリアだけだった。

フレッドから受けた鞭の傷も、彼女が帰国するころには目立たないほどに癒えていた。王室着きの医師の診断でも、まったく問題がないとの診断が下された。女性の大切な部分も乱暴された後がないとの診断を聞いたリーナの父母は安堵した。


リーナが無事に帰ってきたこともあり、両国の緊張状態は治まった。


帰国後のリーナの生活は、外国語教師が交代したことと外出禁止が徹底されたことを除いては以前と変わりないものだった。



翌月になって、フィリップ王子がやってきた。

「心配したんだよ、リーナ様。誘拐されたと聞いて僕は本当に心配したんです。あの時はすぐにでも兵を率いてツォーハイムに乗り込もうとしたのですが、父が許さなくて。」
フィリップ王子はそう言った。

リーナはふいにツォーハイムの牢獄の中で、フィリップ王子の白馬に乗った姿を想像して笑ったのを思い出して、また笑った。

「リーナ様、何がおかしいのですか?」

「ごめんなさい。なんでもない。」
リーナの笑いは止まらなかった。
「ただ、貴方とこうして無事に再開できてうれしかったのです。」
と、リーナはごまかした。
素直なフィリップ王子は、
「僕もですよ。本当に合えてよかった。今日は貴方にプレゼントを持ってきました。」
そう言うとフィリップ王子は、自分で作ったと言う天体望遠鏡を取り出した。

「これで、別の銀河まで見えるんですよ!今日の夜一緒に見てみましょう。」
フィリップはうれしそうに言った。

リーナは、別の銀河が見える望遠鏡なら、ツォーハイムにいるフレッドをも見れるのだろうかと思った。
彼女は心の中でその考えを取り消した。彼女はフレッドを忘れるように自分に言い聞かせた。
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