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変態王子の献身
第2章 リッツシュタイン家の城下町
隣国どうしである、ツォーハイム家とリッツシュタイン家は5年間まで辛うじて和平を結んでいた。両家の王妃どうしが仲良しであることから、リーナとフレッドは幼き時より何度も会う機会があった。

3歳年上のフレッドとは、二人の母親同士が話し込んでいるたびに、一緒に遊んでいた。

リッツシュタイン家の一人娘であるリーナはフレッドを兄のように慕い、いつかはフレッドのお嫁さんになるのだと、子供心に勝手に想像していた。

フレッドは文武に優れた美しい少年で、二人で城の中庭を走り回って遊ぶのをリーナはいつも楽しみにしていた。

10歳になるころから、リーナはフレッドに淡い初恋のような思いを抱いていたため、両国の関係が悪化し、フレッドに会えなくなってからというもの、周りのものには言わずとも、リーナは寂しがっていた。

それから数年経つとフレッドのこともだんだん忘れ、リーナは日々をただ楽しく過ごしていたのだ。両国関係が悪化したとはいっても、戦争にまでは発展せず、水面下での緊迫したやり取りがあるだけなので、城下の街も平和なものである。

仲良しで同い年の侍女のマリアとは、月に一度ほど城を抜け出して城下で買い物をしたり森の中へ散歩に来たりすることがあった。
城の中で、作法や外国語を家庭教師から習う日々は退屈で、活気のある城下の生活にリーナは憧れていた。
リーナ達が時々お忍びで城下に来ていることは、数人の家庭教師以外には知らないようだった。家庭教師たちは理解があり、城下の生活を見ることは、王族のためにもなるだろうという意見であった。マリアの用意した街娘の服に着替えて、午後の数時間を城下で過ごすことは、良い息抜きであった。

リーナはまだちゃんとした恋などしたこともなく、もちろん男女の仲になったことなどない。一国の姫として生まれたものは、結婚するまで処女を保ち、親の決めた相手と結ばれることは彼女も承知していたし、それに対して彼女は特に反発感も持っていなかった。




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