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変態王子の献身
第2章 リッツシュタイン家の城下町
しかし、侍女のマリアは良家の娘にしては、色恋に対して活発で、未だに処女を捨ててこそいないものの親に内緒で付き合っている彼がいたりもする。前回城下に来たときに、リーナはマリアの彼に会ったことがあった。

「リーナ、これが私の彼のラルフよ。こちらは侍女仲間のリーナ」
と、マリアは嘘をついてリーナを紹介した。さすがに、リーナの身分を明かしたりはしない。

「へー。こんなかわいい侍女がいるんだ!それなら俺らも城を守るだけのかいがあるもんだ。」と、ラルフはリーナの全身を眺めた。

「何、じろじろ見てるのよ、この馬鹿!」
と、マリアはラルフを軽く叩いた。

マリアが言うには、ラルフは城の警備隊の訓練生で、マリアやリーナと同い年の16歳だという。飄々とした男である。

「マリア、でも、お前が一番さ!」
というと、ラルフはマリアにキスをした。

友達がキスをするのを始めて見たリーナは顔を赤くした。

「リーナちゃん、うぶなんだね。やっぱ、かわいいわ。」
と、ラルフは笑った。

「そうなのよ。リーナはあんまり男に興味が無いみたいで。」

「そうなの?もしかして、レズビアン?」

リーナはもっと顔を赤くした。

「違いますよー。」
と、リーナは拗ねた。

「リーナはね。幼馴染だった子のことが忘れなれないのよ。」
と、マリアは冷やかすように言った。
リーナはドキッとした。確かに、以前まで、ツォーハイム家のフレッドのことが気になっていたし、フレッドが城に来る日にはどうしたらいいかなどとマリアに相談していたことがあった。しかし、リーナはそんなことはすっかり忘れていたし、しばらくその話をしたことがなかった。

「へー、その男はどうしたの?なんでこんな美人のリーナちゃんの想いを受け入れないの?」
と、ラルフは興味深そうに尋ねた。
マリアはちょっと迷ったように口ごもってから、
「その子はね、遠い国に引っ越しちゃって、もう会えなくなってしまったのよ。」
と、とっさの嘘をついた。
リーナも、
「そうなのよ。ちょっと良い感じかなって思ってたんだけど、もう5年前に会ったっきりなの」
と笑って言った。

「そうなんだ。でも、きっとそいつまでもそいつはこんな可愛いリーナちゃんのことを忘れないと思うなあ」
と、ラルフは愉快そうに言った。
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