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傍にいてもいいの?
第10章 決戦日
溢れる涙を佑典さんの親指が撫でて拭き取ってくれても意味がないくらいで........それでも佑典さんはあたしの頬を包んで涙を拭う。
「ゆうすけさん....」
涙声になりながらでも、どうしても呼びたかった名前。
『もう一回』と口を開いたところであたしの唇は佑典さんのそれで塞がれてしまった。
「ん....ンッ....」
優しく触れて........そんなものじゃなくて、会えなかったことが辛くて寂しくて、触れたくて堪らなかった想いをぶつけられるキス。
角度を変えて、触れあう音も激しくなって........
酸素を求めて口を大きく開くも、塞ぐように佑典さんの唇が........
逃げても逃げても、更に大きく包み込むようにあたしを離さない佑典さん。
次第に零れ落ちるのは、あたしの涙ではなくて........二人の混じりあった甘い雫。
重力に逆らわず、あたしの唇から零れゆっくりと顎から首筋を伝う。
佑典さんの手は、あたしの後頭部と腰をしっかり掴んでいる。
それなのに、第3の指と化した甘い雫はあたしの首筋を撫でて鎖骨まで進む。
離れることはない二人の唇は、もう一度、第3の指を作り出す。
どれくらい時間が経ったかなんてわからない。
それくらい夢中で佑典さんを堪能してしまった。
大きくリップ音がして離された唇。
その唇を見つめていると、
「ひとみ、帰るよ」
いつもの優しい佑典さんの声に頷いて、あたしは繋がれた手を見つめて引かれるまま歩いた。