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傍にいてもいいの?
第2章 気づかれる........
差し出したファイルを取るかと思えば、伸ばされた部長の手はファイル下にあるあたしの4本の指に重なる。
そして、そのまま引き寄せられて顔が近づく。
「......何かあったのか?」
「え?」
「私が出張に行く前と君の纏う雰囲気が違う。なにかトラブルにでも?」
驚いた。
まだ少しの会話しかしていないのにも関わらず、あたしに何か起こったかなんて........そこまで気づくものなの?
課長なんて....休み明け、失恋して泣き晴らした顔してたのに全く気づかなかったのに。
「笹倉?」
『部長の呼ぶ声が優しい』
なんて感じる。
もっと呼んで欲し........
「い、いえ。仕事では特にトラブルもなくこなしています。強いて言えば....プライベートで色々ありまして....」
『まだ、仕事が残っておりますので、失礼します』
ペコリと頭を下げ、ファイルをつき出して部長の胸に押し当てるように届けてその場を離れた。