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傍にいてもいいの?
第8章 天敵、現る........

『ピピ―――――――――――――ッ』
プリンターの詰まりを知らせる音が響く。
その音で覚醒するあたし。
目の前でランプが点滅しているプリンターを見つめる。
「あっ......やっちゃったぁ~~」
何やってるんだろ、あたし。
専務と話をしてからのこれだもん。
プリンターの詰まりも、あたしのミスになったら嫌だもんね。集中しなくちゃ、またみんなに迷惑かけちゃうよ........。
ふぅ....。
紙詰まりは....これで大丈夫ね。
指先が少しインクで汚れちゃったけど、作業が続けられるならいいかな。
「あたしって、まだまだなんだなぁ........考えが甘い」
プリンターに両手をついて項垂れて、少し長めの溜め息ひとつ。
専務の姪、浅川由梨子........。
佑典さんの婚約者........。
負けない。
負けたくない。
そうよ、負けないんだから、絶対に!
佑典さんはあたしを選んでくれたんだもの。
掴んでくれた手は、決して離さないし離したくない。
心で強く誓って、気合いも入れる。
あたしには仲間が居るんだもの、やられてばかりじゃない。
大丈夫。
大丈夫。
大丈夫。
あたしがそう決心しているとき、佑典さんも同期の協力を得て水面下で動いていたのだった。
あたしがその事を知ったのは週末。
専務が言っていた、佑典さんと浅川由梨子の婚約披露の日だった。

