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傍にいてもいいの?
第10章 決戦日
週の始まりに専務からの呼び出しがあって、すみれから聞いていた佑典さんのお見合い相手『浅川由梨子』と出会った。
佑典さんのことが好きな彼女は、面と向かって
『佑典さんを諦めろ』
と言ってきた。
そうしなければ、あたしの居場所は此処ではなくなるんだって。
それと........
明日は、佑典さんと浅川由梨子さんの婚約披露をするって。
この日までにあたしは佑典さんを諦めるか、諦めることが出来なければ異動........その決断を迫られてる。
「ひとみ、コーヒー入ったよ」
「あ、ほんと?今、行くね」
いつもと変わりない朝。
佑典さんと食べる朝食。
テーブルの上にトーストとスクランブルエッグを運ぶ。
「いただきます」
「はい、いただきます」
窓の外は明るくてこれから青空が広がりそうなのに........。
あたしの心は逆の空模様になっていきそう。
今日も、トラブルが起こるのかな........。
また、佑典さんや健一に迷惑かけちゃうのかな?
専務から、呼び出しがあるのかな?
浅川由梨子さん、来てるのかな?
佑典さん、諦めないといけないのかな?
佑典さんのこと........
諦めたくないよぅ........
恋人同士になってまだ2ヶ月も経ってない。
一緒に暮らし始めてだってそう。
目覚めてからこんなことばかり考えてしまって、身も心も疲れてきた。
「ひとみ、どうした?また昨日のトラブルの責任を感じてるのか?」
「佑典さん........」
「あれは、ひとみだけのせいじゃないんだ。気にすることはない。........俺が見たいのはひとみの笑顔だよ。ほら、笑って」
向かい合って座る佑典さんの手はあたしの頬まで伸びてきて優しく撫でてくれる。
この2週間、時間があれば毎朝こうしてあたしを元気づけてくれる。
「ありがと、佑典さん」
「そう、その笑顔だ」
この、佑典さんの温もり........。
忘れない。忘れたくないよ........。