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第1章 心

「でも、半分あきらめてます」
「なんで？」
「今までの経験が一人や二人だったら、その人が下手なのかな？とか考えますけど」
「うん」
「私もこの年ですから。それなりの人数と付き合ってきた訳で」
「うん」

美香が苦笑いしながら自分のグラスにワインを注いだ。

「１回もイったことないのは、相手ではなくて私に理由があるのかもしれないですし」
「ふ～ん」

別にその事ばかり考えて毎日生活しているわけでもない。
ものすごくその事に不満がある訳でもない。

「俺がイかせてやろうか？」
「は？」

私と美香で声がハモった。

「俺が感じさせてやるよ」
「・・・・」

私と美香は次の言葉が見つからなかった。